今回は、30代ラストイヤー記念行事第2弾にして、離島シリーズ第4弾。
妻子持ちの30代として、自分一人楽しむ『自由人の旅』ではなく家族旅行も兼ね、更には海の日を挟んだ三連休を利用し、新潟県の沖合に浮かぶ、全周わずか23キロにして、人口は400人にも満たない小さな小さな島『粟島』へ上陸してきました。
しかし当然、離島に上陸したからには、抜け目なく島一周サイクリングに加えて、粟島最高峰、標高265メートル『小柴山』踏破も実行してきたという、まさに1石3鳥もビックリな、家族を大切にするお父さん計画です(笑)
そして、想像以上に美しくも楽しかった一周サイクリングの記載が終わったら、島についての純粋なレビューも記載してみようと思います。この島の魅力は、自転車の話のみでは少々勿体ない感じです。
そんな今回のルート。
まずは、19日の夕方にに上陸した後、7月20日(日)の早朝より自由時間を確保させていただき、最大の目的である一周サイクリングに出かけてきます。
なお、出発当日の19日は全国的に大荒れの天候でしたが、翌日20日から、21日にかけては天候は急速に回復し、粟島の景色を余すところなく堪能することが出来ました。
それではスタートです。

【8時15分】
昨日19日(土)の、嵐と雷の高速道路を生きた心地もしない状態で走り切り、新潟県粟島浦村へとたどり着いた翌20日(日)
前日まで持っていこうかどうしようか悩み続けて半ばやけくそで持ち込んだ、黄金のRX2カスタムですが、半ば絶望的とも思われた天候は急速に回復に向かい、この日は絶好のサイクリング日和となったのでした。
何という強運でしょう。ただただ感謝ですね。
なお島では自転車のレンタルも行われていましたが、当然普通のママチャリであり、重量・走行性能・外観いずれもRX2カスタムより数段劣る代物であり、手塩にかけた愛着のあるマシンで美しい粟島を満喫する事が出来て本当に良かったと思います。
と、言うわけで民宿を発ち、粟島で最大の建造物であろう、フェリーターミナル前から出発することとします。
そして、この先は自然の美しさが凝縮された素晴らしい道程が待っていたのでした。

まずは、ターミナルから東北電力前や港を抜けて行きます。

粟島に2つしかない集落である、100戸程の内浦集落を抜けていきます。
ほとんどの家が民宿?と言ったような佇まいです。
3連休らしく、観光客の数も島民以上に多くちょっとしたリゾートアイランドと言った光景が見られます。

分岐。
右へ行けば、島唯一の小中学校前を通り、粟島のもう一つの集落である『釜谷』集落へと直行することが出来ますが、島一周をもくろむ私は迷わず左の内海海水浴場方面へと進みます。

海水浴場手前には野馬公園が存在し、数等の馬が飼われていて、乗馬体験などに利用されているようです。
なお有名ですが粟島には昭和の初めまで野生の馬が生息しており、江戸時代には、50頭以上の「粟島馬」が自由に島内を駆け回っていたそうです。
また、粟島馬の先祖は源義経が奥州へ落ち延びる途中で解き放った馬だという伝説が粟島に残っています。
真偽のほどはともかく、馬がフェリーで1時間半もかかるような島までどのようにして渡り、繁殖するようになったのでしょう?実に歴史的ロマンある話ですが、

そして内海海水浴場へ。
2つある内浦の海水浴場のうち一つですが、こちらは砂浜が広がった海水浴場です。

そして、海水浴場傍には売店や、立派なトイレ、シャワー室、キャンプ場などが揃っており、小さな島とは思えないような快適な海水浴を楽しむことが出来ます。

そして先ほどの野馬公園の馬とは打って変わってスラリとした大柄の馬たちが飼育された、あわしま牧場を通り過ぎれば集落から完全に離れて、島の風景を満喫するサイクリングロードが始まります。

天候はますます持って良くなってきました。
緑の山と、青い海に挟まれた細い一本の舗装路である『ふるさと林道』を快調に走り抜けていきます。

島の南端に向かう道のりは、標高にして100メートルほどの登り区間となります。
粟島は全体的にアップダウンのある道のりが続きますが、暑い日差しの中でも小さな島ですので思った以上にあっという間に登りきって行くことが出来ます。

【8時40分】
まずは矢ヶ鼻展望台に到着です。
ここまでは数台の軽四とすれ違いましたが、やはり集落から離れれば人気はありません。

天候も良くなり、サイクリング中はどの展望台からの眺めも最高です。
新潟本土と重なるようにそびえる大きな佐渡島の姿も眺めることが出来ます。

そして進行方向の八幡鼻方面。
ああ・・・美しい。
ですが、この程度で感動していては、この先身が持ちません(笑)
まだまだ序の口です。

展望台を出てしばらく、八幡花方面への分岐点で、一度林道を離れて脇道へと入ります。

鳥居を抜ければ、少し開けた駐車場があり、ここからは徒歩で八幡神社及び、その先の展望台へと往復1キロ程度の八幡鼻散策ロードのトレッキングを行います。

木製の苔むして尚且つ蜘蛛の巣がところどころに見られる、あまり人の通らないと想像される階段の道のりを10分弱進むと、小さな小さな3つの祠の先に、少し大きめの神社が現れます。
こんなところに神社があるのか。。。雰囲気有るなぁ。
そして神社右脇の歩道から更に260メートル先には展望台が存在しているはずです。
先へと進みます。

道すがらの景色は相変わらず美しい・・・
蜘蛛の巣や、木道をわんさと横切るバッタたちや、草木を避けて歩いている煩わしさを一瞬忘れてしまいそうです。
粟島の西海岸はこのような岩場と緑の織り成す美しい景色がどこまでも広がっておりいちいち紹介しているときりがありませんが、ついつい載せてしまいます。

そして展望台付近まで辿り着きましたが、まさに展望台目前にてコガタスズメバチが巣食っているようで、遊歩道の周辺をブンブン威嚇して飛び回っているため残念ながら近づくくことが出来ませんでした。
360度の絶景や、音声案内も有ったりと中々の場所だったようですが、スズメバチなんかに刺されるリスクを負ってまで行く気には流石になりませんでした。
ハチジェットでも持ってくればよかったなぁ。

さあ、気を取り直して次は粟島のもう一つの集落である『釜谷』集落を目指して走り始めます。
一気に下り切った後には、立派な赤い橋もあったりと、粟島一周の道のりはどこも綺麗に整備がなされています。

そして粟島では道沿いに所々に畑が作られていたりして、漁業のみならず、畑作も盛んである事が伺われます。
かつて昭和39年の新潟沖地震により粟島全体が隆起した際に、水田はことごとく使用不可能になり、米は作れなくなったようですが、今でもジャガイモなどが特産品として有名です。
宿でも食べましたが、大層おいしいジャガイモです。

そしてちょっと海側へ目をやればやはり美しい自然の姿。
見飽きませんね。

【9時25分】
釜谷集落に到着。
小さい島ですから、想像していた以上に展開が早く進みます。
40戸ほどの小さな集落に、道に沿って民宿や食堂などが連なり、海水浴に出かける子供の姿なども見られ、実に平和な光景です。
強い日差しにさらされて大汗をかいたため、自販機でコーラを買って一気に飲み干します。

集落のすぐ先では、旅行客の方々が海水浴やキャンプを楽しんでいるのが見えます。
家族連れが多いなぁ・・・楽しそうです。
それを眺めるは男一人でサイクリングをする自由人。。。
でも安心。
今回の冒険は抜かりなく、サイクリングが終わったら家族と合流し、家族の夏の思い出を作るのですから(笑)

そして集落を離れて2キロほどそこそこ辛い登り区間を走れば、内浦へと繋がる県道321号線と、島一周の道である、村道28号線の分岐へと差し掛かります。
そして、ここからは集落も無く、日本海の荒波と風雪を耐え忍んで刻まれた、粟島のめくるめく真の美しい姿を堪能したのでした。

当に島の半週以上を走っています。
日本海に面する西海岸は、木々も低く、まるで標高1,500メートルを越える高原のような佇まいの景色が広がっていて、まるで夢の世界のようです。

標高50メートル以上の場所を、海を眺めつつ走るグリーンロード。
最高に気持ちい。

【9時55分】
内浦まで残り7.5キロ。
『仏崎』展望台へ到着しました。
粟島の展望台の中でも最高の眺めが楽しめる場所とのことです。

そして、その通り。
見渡す限りの青と緑。
そして所々の岩の茶色が素晴らしいアクセントです。

ただただ美しい・・・
神が造ったとしか言いようのない素晴らしさです。
私以外に人間の一人もいない、全てが独り占めの空間です。
俺は自由だ~と叫びだして小躍りしたくなるような世界です。
ちなみに、この眺めはパンフレットにも使われる有名な光景です。

いや~・・・海も山も空も本当に素晴らしい。
本当に悪天候にひるまずに来てよかった。

【10時5分】
先ほどの仏崎より、1.3キロ進んで、次は『八ツ鉢鼻』展望台へ。

ここからの眺めも素晴らしい。
南側を振り返れば緑に包まれたここまでの道のりが一望できます。
本当に島の東側と異なり、高い木が見られません。
東と西で、まるで異なる島のようです。

そして、北側。
青い海に加えて、緑の台地が見てとれます。
あの台地には明治のころまでは、50頭からの野生馬が棲息していた場所だということですが、残念ながら現在は捕獲等により絶滅してしまったとのこと。
このような、本土とは比較にならないほど自然のままと思われていた美しい粟島でも、野生動物を絶滅に至らしめてしまう、人間の業とは悲しいものです。

さて、島一周も遂に佳境に入りましたが、途中バイオトイレが設置されています。

水を使わない微生物とおがくずにより排泄物を処理するバイオトイレで、新しく中も綺麗です。
これならハイキングで来た女性でも気持ち良く使うことが出来ますね。

海に向かって突き進むような気持ちの良いロード。
ジブリの世界のようです。
しかし、ここまで殆どと言っていいほど人に出会うことはありませんが、道から少し山側に入った所々で畑が作られているようで、ポツリポツリと原付や軽トラが停まっています。

アワシマカンンゾウの花が咲き乱れています。
ちょうど7月上旬から8月中ごろの今自分が見ごろのようです。

【10時20分】
粟島最北端。
『鳥崎』展望台に到着です。
もう残すところわずか数キロです。
ここからは本土がよく見えるようになります。
あのあたりは山形県くらいなのかな?

なお、最後の鳥崎展望台を過ぎれば内浦の街までは目と鼻の先となり、更には西海岸から東海岸へ入り、大分木々も高くなってきたのが見て取れます。
また、内浦からレンタサイクルで登ってきた旅行者ともすれ違うようになってきました。
しかし、この辺りまで内浦から数キロにして、海岸から標高差は100m未満とはいえ、ママチャリでは重たいだろうなぁ・・・ おまけに普段自転車なんか乗っていないでしょうし。
頑張る人々を横目に、軽快なRX2カスタムで颯爽と駆け下って、粟島一周の終盤を走ります。

坂を一気に駆け下り、遂に建造物と、対岸には新潟県が見え続ける様になりました。
幻想的な西海岸の世界とはお別れとなり、少々もの悲しい気持ちになります。

道すがら、粟島浦小学校と、対岸の同様に僻地である旧朝日村の葡萄小学校との共同壁画が現れました。
1991年か。。。もう20年以上前の事なんだな。
私は直接葡萄とはかかわりがありませんが、妻方にとってはまさにルーツたる地域であり、しかも島に渡る前にお墓参りに訪れた直後であり、不思議な縁を感じさせられます。

【葡萄小学校の碑】
粟島浦小学校はいまだ少数ながらも学校は存続しているようですが、葡萄小学校は既に廃校となり、その跡地にはかつての学校が存在していたことを示す記念碑と、その跡地には草原、舗装され駐車場となったグラウンドの名残りが残るのみです。
時の流れとは場所によって、悲しいものですね。

また、壁画の傍には湧水がありました。
水量はささやかであり、のどを潤すのは少々気が引ける水量でしたので顔を洗ってさっぱりするこのみとします。
飲めるんかな?
粟島は小さな島ですが特に飲料水には不自由していないようですね。
やはり島内の多くの山が水源となっているのでしょうか。

そして内浦の集落は目と鼻の先まで。
もう一つの海水浴場である、旗崎海水浴場を横目に走ります。
この海水浴場は先ほどの内海海水浴場とは異なり、岩場で構成されており、マリンシューズ無しでは少々泳ぎ辛そうです。

そして、まもなく集落に入り粟島唯一の温泉施設、おと姫の湯前を通り。。。

粟島浦村役場前を通ります。
思った以上にしっかりとした建物でできた役場です。
レンタルサイクルも半分以上貸し出されているようで、ガレージも閑散としています。

ゴールはもう目前の、お土産屋さん前でジュースを飲んで休憩し。

【10時40分】
フェリーターミナル前に帰り着いて、無事に一周を完了しました。
出発より2時間25分
サイコンの数値によれば、所々寄り道をしましたが、およそ21キロといった数値が出ています。
余り急ぎもせず、のんびりと風景を楽しみながら走っていたのですが、スポーツバイクであれば2時間半も有れば充分回ってこれる大きさのようですね。
ただ、流石に自転車で島一周だけが目的で愛車を持ってここまでやってくるのはやはりコンパクト過ぎて勿体ない行為であり、家族旅行にプラスアルファの楽しみとして行うイベントとしては丁度良い、非常に満足度の高い道のりであったと言えます。
30代ラストイヤーの記念行事の一つとして相応しい作業です(自画自賛)
そして、ロードバイクでは少々オーバースペックであり、クロスバイクかスリックタイヤのMTB程度がこの道のりを堪能するのにちょうど良いと思います。
やはりクロスバイクが1台あると非常に便利です。
・・・さて、妻子はバスで島一周に出かけているはずで、与えられた午前一杯の自由時間にはもう少し余裕があります。
と、いうわけでここからはおまけとして
せっかくここまで来たのですから、粟島最高峰の標高265メートル『小柴山』山頂を目指して引き続き歩を進めることにします。
【おまけ】

先ほど出発間際の分岐点をである県道321号線を、今後は釜谷方面へと進みます。
先に見えるのは小中学校前の、島唯一の押しボタン信号機です。
島に住む子供たちが、本土へ行ったときのために交通ルールを知らないことが無いようにとの思いを込めて設置されたというものであり、実際に交通量はほとんどありません。

【11時】
2.5キロほど登り区間を進んで、登山道への分岐である、『灯台入口』の標識が見えました。
標高200メートル近くまでこの暑い中登ってくるのは中々の苦行でしたが、自転車を置いて徒歩で登り出すことにします。

先ほどの、八幡鼻展望台へと向かう遊歩道とは異なり、この道のりはほとんどがコンクリ製の階段で整備されていますが、これまた同様にコケが生えて滑りやすい上に、ブヨがブンブンとまとわりついてきて鬱陶しいです。
真夏の山はこれが辛いな・・・

思ったよりも長い道程を、草木や蜘蛛の巣をかき分けて、ようやく山頂が見えてきました。
白い灯台が空に映えてとても綺麗です。

【11時20分】
小柴山山頂へ。
三角点が設置されていますが、道標はすっかり色が剥げており、何が書いてあるのか判りません。

山頂には他にも鉄塔や、灯台があるのみで、外部への展望は全くありませんでした。
せっかく登ってきたのになぁ・・・ちょっと残念。
しかし山頂入口には灯台の説明板が設置されており、この灯台は、海面からの高さは全国第3位、光りの届く距離は第2位とかなり希少なものであるということが判りました。
そうか。では下山するかな。

さらに寄り道。
粟島のK2。
標高235メートルの『逢坂山』へと繋がるパノラマ新道も眺めに行くことにします。
少し釜谷方面へと走り、この先行き止まりと書かれた村道46号線を進みます。

多くのアンテナや鉄塔がひしめく道程を過ぎると少し大きな広場があって道が終わり、何かの建物の奥に『パノラマ新道』の標識が。
この登山道は草もワサワサ生えており、ちょっと短パンと、トレランシューズで入り込むのはためらわれますね。
道の先はきっと綺麗なのかもしれませんが、まあ最高峰にも登った事ですし今日は引き上げることにしましょう。

【12時】
ちょうどお昼になって、岩船港行のフェリーが出航を待つフェリー乗り場に帰り着きます。
終わった・・・
移動距離はおよそ30キロ。半日たっぷりと遊び散らかさせていただきました。
しかし、正直最後の粟島最高峰は我ながら蛇足の旅であったと感じる次第ですね。
木々を切り開いて、展望台を作ってほしいな・・・
わがままかな?
しかし、何年も前から一度は行ってみたかった新潟県の沖合に浮かぶ孤島『粟島』一周サイクリングは、これまで走ってきた佐渡島、淡路島、小豆島と言った、離島界のビックネームいずれにも劣らぬ素晴らしい道のりであったと思います。
なにより家族がこの島をものすごく気に入ってしまったようで、もう一度くらいは訪問することになりそうですね。
その時はどんなことをしようかな?

さて、約束の時間になり『自由人』は終了。
ここからは『父親』の時間です。
バスでの島一周を終えた家族と合流し、フェリーの傍のカフェ『そそど』でシーフードカレーを食べた後、海遊びがしたくてウズウズしている娘に引っ張られて海水浴場へと向かったのでした。。。
以上で、粟島一周サイクリングに始まる、最高峰『小柴山』までの一筆書きの道のりは終了です。
さて、素晴らしい晴天の下で楽しんだ、この後の活動を含めたその他の島についてからのレビューも後でちょっと記載しておこうと思います。
それで今回はこのへんで。