栂海新道を踏破する! 【1日目:親不知~栂海山荘】

栂海新道
09 /17 2014
 この道の存在を知ったのはいつごろの事だったでしょうか?
 特に山にも興味が無く、バイクの免許を取って間もない頃に、国道8号沿いを走った際
 『へぇ~こんなところに登山道があるんだ~』
 と、言った希薄な印象が記憶にあります。
 
 そして月日は流れ、少し登山も齧り、なぜか40歳を手前にして現実に実行することを決心したものの、今年の夏は中々天候に恵まれず、躊躇していたこの道のりですが、ようやく安定した気候の下に連休が訪れた事により、9月13日からの連休を利用してチャレンジしてきました。

【栂海新道】
 栂海新道は、日本海の海抜0mから白鳥山(1,286.9m)、犬ヶ岳(1,592m)を経て朝日岳(2,418m)を結ぶ北アルプス最北部の縦走路である。
 栂海新道は、「さわがに山岳会」が1961年より黒姫山に新道・黒姫小屋を建設後、1966年から抜開を始め、1971年の全線開通まで、苦節6年間の歳月をかけて未開の朝日岳以北を拓いた岳人の夢の完全縦走路である。
 吹上のコルから天険「親不知」まで約27km。所要時間は親不知からの上りコース約18時間、吹上のコルからの下りコースは約15時間を要す。特に上りは超健脚者コースのため、綿密な登山計画が必要である。
『糸魚川市HPより抜粋』

 とのこと。

 日本海と北アルプスをつなぐ、夢の縦走路か・・・
 言葉にするだけでハートが熱くなって来ますね。
 当然私が選んだ道程は、当然登りコースです。



 そんな今回のルート

 海抜0メートルの『親不知海岸』より、『栂海山荘』、『朝日岳』を経て、その後、標高2,932メートル『白馬岳』を踏破したのち『大雪渓』から下山する。
 といった、およそ50キロの道のりを、3日に分けて、贅沢に歩ききります。

 これまでも超健脚者向けと言われる道程をいくつか踏破してきましたが、果たして今回の道のりには何が待っているのでしょうか?

 それではまずは【9月13日(土)】の内容、栂海新道起点、親不知から栂海新道の中間地点である栂海山荘へ向かってスタートです。


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【5時20分】
 嫁の車で天険コミュニティ広場へと送ってもらいます。

 おかげで自分の車を置いて、下山の後に取りに来ることも。
 また、危険な道のりを駅から歩いてくる必要も無くなり、後顧の憂いなく、非常に有利なスタートを切ることが出来ました。
 
 やはり持つべきものは趣味に理解のある嫁ですね。まことに感謝です。
 
 駐車場には既に数台の車が停まっています。
 
 後で知った事ですが、この日栂海新道を登った人間は【6人】であり、内1名の方とは最終日まで顔を合わせるご縁となったのでした。


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【5時25分】
 400メートルの遊歩道を標高差80メートル下り、日本海を眺めます。

 思ったより荒れているな・・・
 波が大きくてちょっと怖いですが、儀式と思って海水に触れてからスタートします。

 服装は半袖のコンプレッションシャツの上に、薄手の長袖が一枚。
 じっとしていれば、やや肌寒いかな?といった程度で、これから運動を始めるのにちょうど良い気温です。


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 見上げる栂海新道の始まり。

 さあ北アルプスへ向かって進んで行くぞ!!


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【5時35分】
 駐車場で待っていてくれた妻子にしばしの別れを告げたのち、登山届をポストに入れて、いよいよ山の中へ入って行きます。

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 スタート直後。
  
 先週偵察に苦労したぬかるんだ登山道を、今回は登山靴で難なく踏みしめていきます。


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【5時50分】
 まずは1本目の林道を通過。
 栂海山荘までは3本の林道とクロスします。


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 鉄塔の下をくぐる登山道。

 ちょっとわかりにくい。


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 うっそうとした道が続く。

 でも9月に入ったせいか、蚊やアブなどはあまりおらず快適に歩きます。


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 1時間ほど歩いて、今回初めて行動食にと持ってきたコンデンスミルクを啜ってみます。

 甘い。。。でも思ったよりも喉にまとわりつかないし、水分も欲しくならないし良いかもしれない。


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 そして次第に天気も良くなってきます。
 
 この辺りの序盤の道のりは快適ですね。


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【6時50分】
 『入道山』に到着。

 地図に標高も書いていないあっさりとした山頂ですが、この縦走の初めて名のある山頂に立ちます。
 標高は430メートル位でしょうか?
 

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【6時55分】
 そして、すぐに『二本松峠』へ。
 
 さて、ここまで1時間半。
 20キロオーバーの荷を背負っているのでこんなものでしょう。
 
 ここは、かつて上路集落へ趣く際の廃れた道の一つであり、栂海新道が開通する1971年までは忘れ去られた存在であり、なおかつものすごく古い地層でできた地であるとのこと。

 この栂海新道沿いには、この先にもこのような道の痕跡が残っており、歴史的なロマンを感じながら進むことが出来ます。
 

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 うっそうとした森林地帯。
 
 未だ誰とも会わない静かな道のりです。


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【7時15分】
 2本目の林道へ。


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 ここ初めて金属板を切り抜いて作ったサワガニ山岳会の看板を見ることが出来ました。

 実に味があります。


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 そして、市が取り付けたと見られる標識も。

 舗装された道でありますが、車が来る気配もありません。

 行動食に持ってきたパンなどを食べて身支度をして再び登山道へと入ります。
 
 
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 次の大きな目的地は『白鳥山』か。

 まだまだ山深く、先の道のりは容易にはつかめません。

 そしてここからは先ほどまでとは打って変わって、アップダウンの激しく厳しい、また造りも見た目も本格的な登山道へと変化していきます。 


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 いきなりの急登。

 紙芝居の絵が切り替わったかのように、色々な風景が見られるのもこの栂海新道の特徴ですね。


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 迷いそうな場所には手製の道案内版が有ったりします。

 手作りで使った登山道らしくて気持ちが安らぎますね。
 

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 しかし、急登が続きます。
 苦しい・・・

 私は緩い登りや下り、平地などはいくら距離があっても平気ですが、『急』が着くとだめですね。
 おまけに今日は荷物も重い・・・
 
 と、ここで今日初めての登山者と遭遇。

 下山してこられた方で、すれ違ったのは私で『5人目』とのこと。

 まだ先に人がいるのかと思うとちょっと安心します。


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 変わった巨木発見。

 中山で見るような巨木ではないですが、たまに大きな木を見ることが出来ます。
 

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【8時5分】
 標高677『メール『尻高山』に到着。

 ふう・・・先は長いな。


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 その後も山の中をひた歩きます。


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 山の隙間から時折視界が開けることも有ります。

 大きな岩肌を見せる山。

 グランフォンド糸魚川でも通った、海谷渓谷もあんな景色だったような気がするけれど、よくあるのかな?


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【8時35分】
 ようやく最後の林道 『坂田峠』に到着です。

 車でもここまで入ってくることは出来るとのことですが、やはり歩いてこないとね。
 
 なお、この坂田峠も古い歴史があり、峠を下った先にある栄えていた金山の集落に、富山県朝日町の泊の芸者さんが人力車に乗って向かっていたことも有るのだそうな。

 そしてこの道も二本松峠同様忘れられて、朽ち果つつある中で、栂海新道の開通により再び人々の目に止まる事になったとのことです。
 栂海新道は偉大だ(笑)


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 そして、峠を越えたかと思いきや、急な階段などがひたすら続く道程へ。

 これはキツイ。


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 これが『金時坂』か・・・
 
 二つ合わせて坂田金時か・・・良く出来ている。
 苦しい中で想像して、気をまぎらわせます。


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【9時30分】
 金時坂の頭へ。

 やぁっとキツイのが終わるのか~助かった。


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 まばゆい木漏れ日の差す登山道をぐったりしながら歩きます。
 
 しかしこの後もまだまだ激しいアップダウンの連続なのでしたが・・・


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【9時40分】
 第一の水場、『シキ割』へ。
 この水場は登山道のすぐ傍で、分かりやすい場所です。
  
 何だか金属製のろ過装置?のようなところから水がチョロチョロと流れ出ています。
 
 まだ持っていた水も充分にあるので補給はせずに、傍にあったカップで少し飲んでみましたが、冷たくて美味しかったです。
 
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【10時40分】
 『山姥平』って、平らと言うほどの空間も無いんだけれど・・・

 この辺りは、山姥伝説がよく知られているようですから、何かしらこの場所にも伝承があるのかもしれませんね。
 

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 日差しの差す気持ちの良い道程。

 この辺りが、天候的にも体力的にも最高の時間帯であったかもしれません。


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【11時5分】
 今日の道程のおよそ中間点『白鳥山』山頂にある、『白鳥避難小屋』に到着しました。

 薄いグリーン色の綺麗な小屋です。

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 ちょっと中を拝見。

 2階建ての中も整頓された小屋です。
 居心地良さそうだな。


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 山頂には手作りの標高1,226.9メートル『白鳥山』の看板が。


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 いやあ。気持ちいなぁ。
 
 休憩していると、今日2人目の登山者に遭遇。
 下から登ってきたようですが、ここまでの方だったようで、栂海山荘には現れませんでした。

 さて、ちょっと怖いですが、小屋の後の梯子を登った上の展望がすばらしい。


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 糸魚川市方面。
 
 トンボの群れがすごかった。
 もう秋なんだな・・・

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 富山方面。

 稜線に遮られて富山県の街は見えませんでしたが、青い海の向こうには能登半島の姿もかすかに見て取れます。


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 そしてこれから向かう先の、『栂海山荘』の有る『犬ケ岳』方面。


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 真正面の、一番奥に見える山の少し下の平地が今日の目的地の筈。
 
 遠いな~。
 まだまだいくつもの山を越えていかなくてはならないな・・・

 軽く補給を済ませて、先へと急ぐこととします。
 

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 なお、ちゃんとトイレも有りました。
 
 中々にすごいトイレでしたが、ちゃんとあるだけましですかね(笑)


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 白鳥山を経ってすぐに水場の案内板。ここはスルーしました。


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 途中こんなペイントが。

 携帯電話がつながるのか?
 しかし残念ながらauはダメでした。
 
 やはり登山をするならドコモに戻ったほうが良いのかもな・・・


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 白鳥山から栂海山荘まで、急な長い下りの後、長い登りを何度も繰り返していく地獄のような道程が続きます(笑)

 何というか、山体自体が小さいからどうしても稜線を繋ぐと急になってしまうんでしょうね・・・

 山の景色も樹林帯から、岩場が多くみられる様になるなど、次第に変化してきました。
 

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【12時40分】
 標高1,241メートル『下駒ヶ岳』に到着。
 
 白鳥山から1時間半か。。。
 随分長い時間がたったような気がします。

 ここで今日3人目の山岳会っぽいおじさんとすれ違います。


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 そして次の山へ向かって再びのアップダウン。

 出発してからすでに7時間以上、アップダウンの連続する道程を歩き続けており結構疲労しています。


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【13時15分】
 標高1,209メートル『菊石山』へ

 かつてアンモナイトの化石(菊石)が発見された山頂であるとのことですが、探す気力も無く先へと進みます。

 こんなに歩いていても、全く標高が変わっていないところがこの道のりの憎いところですね(泣)
 水平な道が欲しい・・・


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 途中の木に打ちこまれた、『さわがにつがみしんどう』の標識。

 思いが込められている気がしますね。


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 見事なブナ林。

 深い山の中に突如白い幹のブナ林が広がっています。

 綺麗なんでしょうが、何だか見晴らしがよすぎて少々不安な気持ちにさせられますね。
 駆け足で先を急ぎます。


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【13時25分】
 栂海山荘までの最後の水場『黄蓮の水場』の看板。

 この疲労した状態で、更に水を背負うのはかなり厳しいところですが、汲んでおかないと山荘で調理もできません。
 意を決して沢まで下ります。


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 幸い5分もかからずに、水場へ到着。

 水場と言うか、これはほんとの沢水ですね・・・
 飲んでもいいんかな?

 と思いつつも、一口飲んだらその爽やかな冷たさに耐えられず、がぶがぶと1リットル位飲みまくってやりました(笑)
 
 やっぱり真水は良い!!
 ストリーマの中はスポーツドリンクの為、身体が真水に飢えていたようです。

 2リットル=2キロ程の荷物を追加して、再び登山道へ復帰します。

 いや、ほんとに重いわこれ(笑)


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【14時15分】
 山荘までの最後の山頂。

 標高1,384メートル『黄蓮山』へ到着。

 うん、やった~。あと少し!!かと思いきやここからも意外に長い道のりでした。  
 

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 そして、嫌なことに午後になったせいか山には雲がかかってきました。

 すぐにでも雨が降ってきそうな色の雲です。
 嫌だなぁ・・・
 遠くで雷の音も聞こえていて怖いし、疲れ切った身体に鞭打って先を急ぎます。


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 と、言いつつも急げない(笑)

 長距離はどうという事は無い私も、アップダウンの連続はかなり体力を蝕んでいます。

 こういうのは平気と言う人もいるのでしょうが、私には今まで歩いたどの道程よりキツイ。

 小雨のぱらつき出した中を、ひたすら前へと進みます。


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 岩場も登ります。
 
 何だか人の声が聞こえてきたような気もします。
 山荘はもう間近に来ているようです。
 

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 キツイ登りに、一歩一歩踏みしめるように歩きながら、遂に山荘へとたどり着きました。

 やっとついたよ。


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【15時20分】
 ようやく今日の宿泊地である『栂海山荘』へ辿り着きました。

 親不知を出発してからおよそ10時間の道程です。
 長かった~
 

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 当然、ベニズアイ山岳会の方には予約済ですので、既に5人以上の先客の方がおられる中、山荘へと足を踏み入れます。

 中は2階建ての8畳間と、同じく2階建ての10畳間程度の宿泊スペースと、管理人室まで供えられた立派なものでした。
 

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 2階か。。。

 面白そうだけれども、疲れていて登る気にならないな。
 今日は1階で寝よう。


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 荷物を降ろします。
 
 テントセットも詰め込んだ20キロオーバーの相棒は命の綱ですが、下すと体が異常に軽く感じられますね。
 また明日も頼むぞ。
 

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 なお、外にはちゃんとトイレ・・・
 も備え付けられています。

 男は平気ですけれど、女の人は厳しいかもね。


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 外はすっかり雲に覆われて、展望はありません。

 ちょっと残念ですが、天気予報は明日明後日の方が良かったはずです。
 今日はゆっくりと休んで、明日からの道程に備えることにします。


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 それでは、まずは1日目を無事に終え、『栂海山荘』に乾杯!!
 
 大分気温も下がってくる中、強いアルコールが体を温めてくれます。

 山荘に戻れば、皆さん晩御飯の支度をしており、総勢10名ほどに私も加わって山談議に花を咲かせます。
 
 ほとんどは朝日小屋から下山してこられた方達で、登りコースは朝日小屋へ向かった超健脚者の方が3名。

 そして宿泊は私と、先行して来られた方が1名。
 そして後で到着し、最終日まで同じ道程を行動することになった方が1名、の計3名でした。

 はるばる東京から来られたその方はなんと計11連休を取られており、今も上高地へ向って北アルプスを縦走しているはずです。
 無事に縦走を終えられますように、お祈りしております。
 そして、またいつかどこかの山でお会いしましょう。

 さて、第一日目は

5:20  天険コミュニティ広場
5:25  栂海新道起点発
8:35  坂田峠
11:05 白鳥山
15:20 栂海山荘 
 
 の、計10時間の道程でしたが、距離に対しての所要時間と疲労度は過去最高の道程でした。

 しかし、初日が最も厳しい道のりで有ることは想定内であり、翌日からは少し余裕を持って、北アルプス最北の山、『朝日岳』に向かっての道程を進むことができるはずでした。

 だがしかし・・・2日目『栂海山荘~朝日岳』へ、続きます。


 それでは今回はこのへんで
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コメント

非公開コメント

今回のテーマはかなり興味があります(笑)

お疲れさんっす!最高な時間ですね!
自由な時間ができればまたいろいろ付き合ってください!

Re: タイトルなし

あらくに様

歩いているときは苦しくて大変でしたが、宿泊地に着いてしまえば楽になりますね。
そして終わってしまった今となっては名残惜しい気持で一杯です。
また時間の合う時に何かしましょう!

しかし、この急なアップダウンの連続は、私などよりよほど得意分野なのではないですかね?
是非とも行ってみて欲しいところです。

OKI

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