栂海新道を踏破する! 【2日目:栂海山荘~朝日岳】

栂海新道
09 /18 2014
 前回からの引き続き。

 二日目、9月14日(日)についての出来事です。

 この日の道のりは、栂海新道の後半部分、『栂海山荘』から『犬ケ岳』~『黒岩山』~『黒岩平』を経て、栂海新道の終点である『吹上げのコル』を越えた後、北アルプス最北の山『朝日岳』へ」至るルートです。

 そして、この日からは完全に下界とは隔絶され、持参したテントによる『朝日平』でのテント泊となる、山を満喫した道程となりました。

 山で一泊の後、更に山深く踏み込んでゆく初めての体験。
 それではスタートです。


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【5時30分】
 昨晩は、深夜にバケツをひっくり返したかのような豪雨の音で目が覚めたりしながらも、山荘に用意された毛布にくるまって、一夜を明かしました。

 そして4時ごろから、暗い山荘の中で朝食と身支度を済ませた後に外に出て見れば、雲は晴れ、今日の道程が視界全体に広がっていました。

 美しい・・・
 周囲の人工物は山荘のみ。

 今自分はまさに大地のただ中にいる。


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 外壁がまだ濡れた山荘は、一晩我々を山の厳しい天候から守り抜いてくれました。

 ありがとう栂海山荘。何だかとても居心地が良かったよ。 
 またいつの日か、お世話になると思います。
 その日まで!

 既に登りの方々は数分前に山荘を経っており、私も下山する方々に別れを次げた後、いよいよ出発することとしました。
 

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 トタンに、大きな赤文字で書きこまれた案内に従い、二日目の道程を歩き始めます。


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 昨日は想像以上に疲労した状態でしたが、10時間近い休息の甲斐あり、足取りも軽く歩を進めます。

 まずは山荘の直ぐ傍の『犬ケ岳』を目指しますが、ここからは高度も1,000メートルを超えて、どんどん高度を上げて行きます。
 そのため、木々の背丈も低くなり、狭い稜線と急なアップダウンを繰り返す、より登山道としての魅力にあふれた道のりとなって行きます。


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【5時40分】
 標高1,593メートル『犬ケ岳』山頂へ。

 山頂はガレた岩場がむき出しになっているなど、高度以上の風景が味わえます。


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 視界の下には『栂海山荘』が見えています。


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 犬ケ岳の山頂からは、この先の稜線が一望できます。

 この長い長い尾根を歩ききった先に今日の目的地『朝日岳』が有るのです。


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 そして、遠目には『剱岳』の姿も見ることが出来ます。
 
 この角度から見ると、こうなって見えているのか・・・


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 その後は、細い稜線沿いの登山道は、いずれも険しく、細かいアップダウンの連続が続きます。

 岩や縄場も多く、細い尾根道を注意して進みます。


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 しかし、日差しもやや高くなり始め、朝焼けに赤く染まりだした山肌の美しさは息をのむほどです。

 このような景色を眺めることが出来る道を歩く事は本当に素晴らしい。


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【6時10分】
 『北俣の水場』の分岐点へ到着です。
 
 地図では山荘から簡単にここまで来れるように思って見ていましたが、実際はかなりの難所をいくつか乗り越えてこないと辿り着けません。

 やはり親不知からの登りの際はちょっと遠いけれど『黄蓮の水場』で重い水を背負って来る方が良いようです。

 写真を取り忘れましたが、5分ほど下った水場まで下った後、ここでも真水に飢えていた私はガブガブ飲み干して登山道へと復帰したのでした。


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 そして再び続く、険しく狭い稜線沿いの登山道。


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 進行方向右手には、普段平地より見慣れた山々達の背後が見渡せます。

 剱岳に、毛勝三山、僧ヶ岳に駒ヶ岳と連なっているのが一望できます。 


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 そして左手には深く大きな谷が広がっています。

 見渡す限り山に囲まれているな。


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【7時5分】
 山荘を発って1時間半。
 標高1,612.3メートル『サワガニ山』へ到着です。

 サワガニ山か・・・ここに蟹がいたのかな?
 山岳会の名前とも何か由来があるのかもしれませんね。

 そして、このサワガニ山を越えた後から、また少し山の雰囲気が変化して、ここまでの厳しいアップダウンの連続する登山道から少し山は広くなり、アルプス然とした大きな自然の世界へと切り替わって行くようになります。


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 稜線から除く富山県の方向。
 僧ヶ岳の稜線に隠されて、家の方向は見えません。

 目に映るほど近い距離に古里が有るはずなのに、ものすごく遠い場所まで来てしまいました。 
 
  
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 しかし正面にはあまりにも美しい緑の北アルプスへの稜線。

 その輝きで、わが身をより深遠へと誘います。


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 サワガニ山以降、岩が多かった稜線から、次第に土がむき出しとなった登山道へと変化しますが、昨日の夜の大雨でグチョグチョにぬかるんだ場所が多々見られる様になります。

 そんな中、栂の木の群生する地帯を通ります。
 凄い、枝は海側からの風によってでしょう、完全に半分偏ってしまっています。

 栂の木の連続するこの場所が、栂海新道の由来なのでしょうか?


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 そして深い登山道を進む道程の中、突如現れる草原地帯。

 美しい・・・地上の楽園か?


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 草原の先には『文子の池』と名付けられた池塘がありました。


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 池塘正面にはこれから登る『黒岩山』がそびえ立っています。

 小さくも、ポッコリと綺麗な三角の山が目の前にあらわれます。


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【8時10分】
 標高1,623.6メートル『黒岩山』山頂へ。

 天気も良く、見晴らしも素晴らしい、今日最高の時間帯でした。

 ここで少し休憩と補給を取ながらまったりしていると、今日初めての登山者のご夫婦とすれ違います。

 栂海山荘を経ってから、初めて人と遭遇しますが、この先『黒岩平』の間では『朝日小屋』からの下山者と多くすれ違うようになりました。
 どうやら、昨晩と異なり今晩の栂海山荘は大混雑となる様子ですね。


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 黒岩山山頂から眺める黒岩平。

 いや~綺麗だ。
 高山帯にやってきたという雰囲気や空気が感じられるようになってきました。
 

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 黒岩山を下りてすぐに中俣新道との合流点に辿り着きます。
 
 後に幾人かの方がこの道から黒岩平を登ってこられました。


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 そして黒岩平へと入り込みます。

 素晴らしい高所の湿原地帯です。
 室堂、薬師平、雲ノ平と、幾つかの高所の平原を見てきましたが、ここも勝るとも劣らぬ素晴らしいところです。


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 黒岩平の道も、ご多分に漏れず昨晩の雨でぬかるみが酷いものになっていましたが、昨日より登り始めてから目にしなかった、安らかな光景に心を癒されつつ進みます。


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 ここではいくつもの小川や池塘が見られます。
 水場で水分補給を行い、ここからの長い道のりに備えました。

 また、時間帯的に朝日小屋を出発した人々とすれ違う頃合いの為か、この平の区間に集中して、登山者の方々とすれ違いました。
 

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 しかし、この黒岩平は非常に長く、かつ意外にアップダウンがあり次の『アヤメ平』にたどり着くまでに何度も同じような光景を繰り返し眺めさせられることとなるのでした。


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 登っては湿原へたどり着き・・・


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 また長く急な登り・・・


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 そして何度目かの湿原と言った道程を繰り返します・・・

 このころには全く人と会うことも無くなり、再び静かな単独行へと戻っています。 


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 次第に雲が増えガスがかかるようになってゆく中

 登りと湿原を繰り返した後、木道や丸太の階段が現れ始め、ようやくこの長い湿原の終わりに差し掛かります。


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【10時40分】
 2時間以上湿原を歩き続けてようやく『アヤメ平』にたどり着きます。
 
 う~ん。どうやらアヤメの季節ではないようで、草紅葉気味の草原が広がるのみでした。 


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 そして、ここも『文子の池』同様、『アヤメ平』の看板は潰れてしまっています。
 
 やっぱり降り積もった雪の重みでこうなってしまうのでしょうね。
 試しに手で引き起こしてみようとしますが、鋼鉄製の柱はびくともしませんでした。

 雪の重みってすごいのだなぁ・・・


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 しばらく進み、すでに2,000メートルを超える高所に立ちながら、アヤメ平と、黒岩平を振り返ります。
 
 本当に広くて長い道程の湿原でした。


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 そして、ここからは今日の最終目的地『朝日岳』へと向って、再び高度を上げていくこととなります。

 早朝より歩き始めてから6時間。
 山荘に一泊したとはいえ、さすがに歩きづめの2日目ともなると、益々登りがきつく感じられます。


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 その後も、階段や、木々の茂った意外に長い道のりを頑張って登り続け、登山道にガレた岩が多く見られる長栂山手前の風衝帯に辿り着きます。

 いやあ、また風景が変わった。
 高山に来た雰囲気があります。


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【11時20分】
 ホンの5分ほどの寄り道になりますが、木々の生えないガレた、不思議な空間の稜線を歩き、『長栂山』山頂へ到着しました。
 

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 そして、広い岩だらけの空間に記されたペンキマークの道程を見失わないように先へ進みます。

 ボケ~っとしていると、ルートロスしてしまいそうな場所です。


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 長栂山からも、しばらくアップダウンや木道のある湿原なども、2つの大きな池塘の並ぶ『照葉池』の傍を通り過ぎます。

 本当にめぐるましく光景が変わるなぁ。


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 その後も木々の間を潜る当な登山道を過ぎて、いよいよ朝日岳の取り付きへが確認できるようになってきました。
 
 そして同時に長かった、栂海新道の終点(起点)が近づき始めました。


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【12時】
 栂海新道の事実上の終着点、『吹上のコル』に到着します。

 ここは五輪尾根との合流地点でもあり、備え付けられたベンチには休憩をとる人々の姿も見て取れました。

 この日の朝、栂海山荘を出発してはや6時間半か・・・

 ここまでが、親不知から27キロ
 1日目10時間の、二日目6時間半の計16時間半か。

 随分と時間がかかっちゃったな。
 荷物が重いせいもあるでしょうが、まだまだ鍛え方が足りないな。


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 また、来た道の方を振り返れば、大きな岩を入り口として、これまた大きく『ツガミ』の文字が描かれています。
 
 長い長い栂海新道はここから始まり、そして遥かなる日本海へと繋がっているのですね・・・


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 さて。
 栂海新道は事実上終わりましたが、まだまだ私の旅路は続きます。

 栂海新道が拓かれた目的の一つである、北アルプス『朝日岳』へ向って、疲れた体に鞭打ってジグザグに道の刻まれたガレた登山道を進み始めます。

 最後の大詰めですが、最早足が死んでおり、長い急登に苦労しつつ1歩1歩何とか足を前に出していきました。


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 登りの途中、休憩しつつも振り返れば、雲の切れ間から遥かなる栂海新道の道程が垣間見えます。
 
 綺麗だ・・・
 さらば、栂海新道。


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 長い登りに苦しみながら、ようやく山頂が。
 

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【12時35分】
 標高2,418メートル。

 『朝日岳』山頂にたどり着きました。
 
 この二日目も長かった~。
 
 そしてこれまた奇妙な縁。
 この先白馬三国境まで同じ道のりを進む事になる愛知県から来られた方に、記念写真などをとっても頂きつつ、山頂の感触を味わいます。
 まあ、ほとんど一本道みたいなものですから、同じ道を進むしかないのですけどね(笑)


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 雲で視界も無く、風も冷たいので早々に下山し、今日の幕営地である朝日小屋へ向かいます。

 どうせまた、明日の朝には登ってくるつもりですしね。


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 朝日小屋へ向かう方向の登山道は、木道や階段が多く整備されています。

 また、ガレた岩場ではなく木々や植物も多く茂っており、風当りの違いなのでしょうが、山肌の向き一つで随分と変わるもんだと感心して下ります。


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 お、木苺だ。
 おいしそう。

 あと少しで休めると思うと、心にも余裕が出てきますね。
 この他にも、色々なお花が咲いていました。


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 雲の切れ間から、朝日小屋が見えてきます。

 ああ~あと少しだ。


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【13時20分】
 『朝日小屋』へ到着。

 小屋の前のベンチでは幾人かの方が休憩しておられて、その中に栂海山荘で一緒だった方もいらっしゃいました。
 早い。


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 まあ、何はともあれまずはこれです。

 小屋でテントの受付をして、500ml800円の缶ビールを購入。

 『朝日岳』に乾杯!!

 美味すぎる!!
 昨晩からもうビールが飲みたくてしょうがなかったんですよね(笑)


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 雲が多く、風の有る日でしたが時に雲が晴れて暖かい日差しが差す時もありました。 


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 その後、昼食を摂り、テントも無事に張って周辺をブラブラします。

 20張りくらいのテントがあったでしょうか?
 しかし、昨晩はもっと有ったようです。
 
 今日は連休の中日ですから少ないのでしょうね。

 この後は、夕方までブラブラしたり、酒を飲んでテントでダラダラした後夕食の時間となりました。
 
 なお、テント場ではラジオは意外に良く聞こえており、酒を飲み飲み、パカパカ行進曲を聞きながらテントの中で一人笑いしていたのでした。
 キャンプは楽しいなぁ(笑)


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 夕食は小屋で食べさせてもらうことにしました。

 毎食アルファ米と、カップヌードルでは気が滅入りますからね。

 食前酒のワインや、昆布〆の刺身やおでんも有ったりと豪華なメニューです。

 一日ぶりの柔らかいご飯も美味しく、4杯もお替りしてしまいました。
 
 しかし、この小屋の女将さんは有名な方のようですが、宿のお客さんたちはテンション高いなぁ・・・
 まるでアイドル小屋のようですね。


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 すっかりお腹いっぱいになって満足して小屋の外に出て見れば、すっかり雲が落ちて山々の稜線が開けていました。

 夕焼けに染まりつつある、明日の目的地、雪倉岳、白馬岳。

 美しいなぁ・・・
 小屋の人たちも、テント場の人たちも皆感嘆の声を上げつつ朱に染まった北アルプスを眺めています。


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 あれが『白馬岳』か・・・

 明日はあそこまで行くのだなぁ・・・
 
 あんなに遠くに見えるのだけれども、明日の昼ごろにはあの頂に立っている予定なのです。
 山を歩くって、不思議だ。

  その後、夕暮も終わり日が暮れるまで景色を眺めた後、明日の道程に備えて早々とテントに潜り込んで、就寝したのでした。。。

 さて、第2日目の道程は

5:30  栂海山荘発
8:10  黒岩山
10:40 アヤメ平
12:00 吹上のコル
12:35 朝日岳
13:20 朝日小屋

 のおよそ8時間の行程でした。 
 やはり、初日に比べて足取りは重い感じがしますね。

 次は、3日目『朝日岳~白馬岳』へと続きます。


 それでは今回はこのへんで。
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